水たばことは、タバコを摂取する一手段である。パイプの中に入れた水(別の液体を入れる場合もある)に煙を通して吸う。
一言に「水たばこ」といってもさまざまな種類があるが、ここではその中で「シーシャ」ならびに「フッカー」「ナルギレ」などとも呼ばれる種類について解説する。
概要
発祥や成り立ちの経緯については諸説あるが、タバコがインドに伝わった際に、タバコの煙を水を通して冷やすことで吸いやすくする方法が開発された。最初は空のココヤシにパイプを通しただけのシンプルなものだったが、トルコで大改良が施されて今ある「シーシャパイプ」が製作され、今に至る。イスラム教の戒律でアルコールの摂取が禁じられている中東において、水に冷やされた涼やかな煙を吸える水タバコは流行した。
オスマントルコ時代、エジプトに水たばこが伝播した頃、たばこに糖蜜などが練りこまれるようになった。
紙巻たばこに押されて斜陽化し始めた80年台後半、エジプトの水タバコ会社のナハラが、リンゴの香りを練りこんだフレーバー付きタバコを販売、たちまち水タバコ産業は息を吹き返し、世界中で愛用者を増やした。
日本においても、中東料理店などで水たばこを扱う店がある他、水たばこの喫煙を専門にする「シーシャバー」なども開店している。また、ネット上でもシーシャパイプや水たばこ用のフレーバーを購入することもできる。もちろん「タバコ」なので、購入や喫煙については日本の法律が適用され、20歳以上でないと扱えない。
とりわけ、シーシャはフレーバーを燻すことで得られる煙の香りと味を楽しむものである。(間違っても、脱法ハーブを吸うための器具ではない)
刻んだタバコの葉に香料と糖蜜などを加えて半ペースト状になったもの(一般に「フレーバー」と呼ばれる)を、シーシャパイプの上にある小さな火皿に詰め、アルミホイルまたは専用のフィルターをかぶせた上に小さな炭で熱することで煙を発生させる。煙は、火皿に接続されたパイプを通し、シーシャパイプ下部分の容器に入った水をくぐらせ、吸い込む。一回(シーシャの陶器一盛り)あたり、おおよそ30分~2時間近い時間を要する。器具が大掛かりな上、準備や後片付けの手間もかかるので、一般に普及している紙巻たばこに比べて手軽ではない。
健康への影響
WHO
に存在する『たばこ製品規制研究部会』が2007年
5月31日
の世界禁煙デーに向けた研究発表によると紙巻タバコが1本を吸い終わるのに平均5~7分間のうちに8~12回煙を吸入することに対し水タバコは前述の通り長時間をかけて煙を吸引することで嗜好を味わう物であり、20~80分の内に50~200回もの煙を吸入するため、吸い込む煙の量だけを比較する場合は紙巻タバコ100本分にもなるという。 また、WHOのTobacco Free Initiative (TFI) 発表のTobacco: Deadly in any form or disguiseによれば、水たばこも含めて、あらゆる形のたばこ製品は喫煙者やその周囲の非喫煙者の健康を脅かす重大なリスク要因であることとも明言されている。
また、イギリス保健省などの調査によると、水タバコ一回分の吸引によって体内で発生する一酸化炭素の量は、紙巻きタバコ1本分で発生する量の約4~5倍にものぼり、これによる脳などへの重大な影響が懸念されるとして、通説では「紙巻きタバコよりも安全」と見なされがちな水タバコ吸引の危険性について同省や関係機関では注意喚起を行っている。その他にも、複数人数で一つの水タバコを共用する際にマウスピースなどを交換せずに回し吸いを行った場合、肺結核、ヘルペス、インフルエンザなど経口感染による様々な病気の伝染も懸念される。
煙を水に通すことによって、ニコチンやタールを減じる効果があると言われている水たばこだが、喫煙の害についてはあまり積極的な研究がなされていないのが現状のようである。
上の抜粋についても、健康被害についての指摘は否定できないとはいえ、「禁煙」に重きを置かれた発表のために大げさな表現(いわゆる「間接キス」による感染は、喫煙以外の場合にもありうる)もあり、中立的とは言えない。
<水タバコはやはり呼吸器によくない=イラン大学の研究>
【パリAFP時事】イランのマシュハド医科大学はこのほど、煙を水にくぐらせる「水タバコ」はたばこの煙を
深く吸い込む喫煙と同じくらい呼吸器疾患を引き起こすとした研究結果を明らかにした。
(写真はテヘランの茶店でテレビを見ながら水タバコを吸う客と店主。2008年撮影)
中東で何世紀もの歴史がある水タバコは近年、欧米の若者、特に女性の間ではやっている。
しかし今回の研究結果は、水タバコはたばこの有害物を取り除くから安全だと主張する擁護者らに
科学の面から新たな打撃を与えるものだ。
研究チームは水タバコの喫煙者57人、たばこの煙を深く吸い込む喫煙者30人、
通常の喫煙者51人、非喫煙者44人の肺機能を2年続けて3カ月ずつ調査。
その結果、呼吸時にゼーゼー音が出る喘鳴が起きたのはそれぞれ23%、30%、21.6%、9.1%、
せきが出たのは21%、36.7%、19.6%、6.8%、たんができたのは14%、10%、3.9%、6.8%だった。
研究チームのリーダーは「水タバコが肺機能に与える影響はたばこの煙を深く吸い込む喫煙者に見られるものと似ている。
通常の喫煙も、水タバコより影響は少ないものの、十分に呼吸器疾患の原因となる」と指摘した。
2005年の世界保健機関(WHO)の調査によると、水タバコの煙には高濃度の一酸化炭素、発がん物質、ニコチンなどが
含まれている。また、たばこの喫煙者は5~7分に8~12回ほど吸い、吸い込む煙の総量は0.5~0.6リットルだが、
水ギセルの場合は20~80分間に50~200回吸い、1回当たりの吸い込む煙の量も0.15~1リットルに上る。
つまり、水ギセルの喫煙者は吸い始めから吸い終わりまでに、たばこの喫煙者が100本以上を吸うのと同じ量の煙を
吸っている可能性があるとされた。 〔AFP=時事〕(2012/08/31-23:00)
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▽記事引用元 時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_soc&rel=j7&k=20120831029394a
上記のイランにおける研究報告も、データに使用されたサンプルが少ない上に喫煙における明確な基準が決められていなかったりと、信用性が低い(イラン国内でぜいたくを規制するためのイラン当局の施策とする見方が大きい)
水たばこのフレーバーにはタバコが使われているが、タバコのかわりにサトウキビや石を使うことでニコチンフリーを実現したものもある。(もちろんそれらも日本では「代用タバコ」と見なされ、20歳未満は喫煙することはできない)
ただ、炭を熱して燻して出た煙を吸う、という方法が故に、一酸化炭素中毒の危険がある。頭がクラクラしたり、身体に妙な痙攣が走ったりするのは、大抵一酸化炭素中毒である。その場合、そういった兆候を感じたら喫煙を休む、ないしは中断することで重症化を回避できる。酸素吸入なども効果はある。
確かに、水たばこで使われるタバコ葉は比較的ニコチン含有量の少ないものが使われる上、製造過程でニコチン量もだいぶ減少している。その上、水をフィルターとしていることで、水溶性の高いニコチンはほとんど吸収されてしまう。また、タールも水に冷やされるために非常に軽減される。
とはいえ結局はたばこなので、完全に害悪が除去されているわけではない。健康に悪いかと聞かれれば悪いと言わざるを得ないし、厳密に健康を気遣うなら吸わないのが賢明である。
健康気にして嗜好品が楽しめるか。
関連動画
いろいろ間違っている例
本来水たばこは、たばこに直接火をつけたりあぶったりするものではない。(この方法で吸うと、フレーバーの香りが飛んで、吸う煙がいがらっぽくなる。)また先述の通り、脱法ハーブを吸うには適さない。
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関連項目
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