カラバは、地球連邦政府の議会を制圧した
シャアは、そこで自分の正体を明かし
ティターンズの危機を世界に訴えた
それは、時代の変わる狼煙であった
次回『機動戦士Ζガンダム』
「ダカールの日」
君は、刻の涙をみる……
ダカールの日とは、テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』第37話のサブタイトルである。1985年11月16日放映。
概要
物語終盤、そして作中世界となる宇宙世紀0087年のターニング・ポイントとなるエピソード。前話『永遠のフォウ』においてティターンズのキリマンジャロ基地を攻落させたカラバと、エゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉は、政治的アピールのために次なる行動に出る。それは、地球連邦政府のダカール議会をジャックし、クワトロ=シャア・アズナブル自らの言葉によって反地球連邦活動への賛意を呼びかける計画であった。
劇場版3部作『A New Translation』ではカットされている。
ストーリー概略
ジェリド・メサが指揮するガルダ級輸送機・メロゥドは、弾道飛行中のアウドムラをキャッチした。アウドムラの狙いがダカールだと読んだジェリドは、連邦租借地への侵入制限を無視して追撃に移る。
ベルトーチカを始め、ルオ商会の息がかかった協力者たちはダカール議会に浸透し、前準備(=反対派の始末など)を終えていた。アムロのディジェに同乗し現地へ向かうクワトロは、己の行動の迷いを自嘲し、アムロはそんな彼を冷徹に鼓舞する。
自分に、道化を演じろということか
現地で取材スタッフを騙るベルトーチカは連邦軍一般兵に絡まれ、ティターンズのアジス・アジバ中尉に助けてもらう。ティターンズは一般兵とは違うと語るアジスに、ベルトーチカは少し意地悪な問いかけをした後、自分が流す放送を見るように伝え、クワトロを迎えに行った。
現代は、混乱の時代です。このような時代にこそ、
正しく、全てを統括していける軍が必要なのです誰の言葉? あなたの言葉ではないんでしょ?
ベルトーチカの車で議場に侵入したクワトロは、工作員たちのアシストを受け演台にあがる。カミーユのΖガンダムを始め、アウドムラMS隊は演説の時間を稼ぐため、ダカール守備隊やメロゥドMS隊と交戦する。怪我のため、守備隊の予備部隊に回されていたアジスは遅ればせながらアッシマーで出撃するが、Ζガンダムから攻撃を受けてしまう。しかし、墜落寸前にΖガンダムが救援に転じ、アジス機の姿勢を回復させると「議会の放送を聴け」と言い残して去っていった。憮然とするアジス。
ジェリドらメロゥドMS隊は光ファイバー通信施設の破壊に向かい、アムロやカミーユたちは迎撃に回る。ベルトーチカは議場の屋上に出ると、至近で行われる戦闘を腰が抜けたカメラマンから分捕ったカメラで中継。その放送を見ていたアジスは、次第にティターンズの強硬な姿勢に疑問を抱いていく。
アジスは、通信施設を射程に捉えたハイザックに体当たりして照準を逸らす。すかさずΖガンダムのビーム・ライフル銃剣が投擲され、ハイザックは墜落。ところが、カミーユがライフルを回収しようとすると、「死んだふり」をしていたハイザックはΖガンダムを羽交い絞めにする。さらにジェリドのバイアランが降り立ち、Ζガンダムに銃口を向ける。
なぜ議会を潰そうとする!?
ティターンズが正しいのなら、議会で証明すべきだろ!どこの部隊の者だ? ティターンズは力だ!
力があってこそ全てを制するんだ!やめろー!
バイアランのビームがアジス機を貫く。その火線は、後方のダカール議場へと吸い込まれ──
解説
「ダカール演説」は作中世界における大きなターニング・ポイントだが、それはそれとして一本のアニメ放送回として振り返ると、初見では「この話はストーリー全体としてどういう意味があるのか、ちょっと見えてこないなぁ」という感想を抱く人が多いかもしれない。後の話では、この演説によってティターンズの風評が地に落ち、連邦政府にも見放されかけている旨が(ちょっとわかりづらい台詞で)度々示されるのだが……。
前話の〆=キリマンジャロ陥落から議会制圧作戦の実施が決定されるプロセスがまるまる省略され「なぜそんなことをするのかわからないまま」「いつの間にか制圧準備が終わっていて決行を待つのみ」の状態になっていること。シャアのスピーチ内容が何を言いたいのか曖昧なこと。回の終わり方が尺の都合を感じさせるなし崩し的なものになっていること。この辺りが理解の妨げになってしまっている感は否めない。
一方で本話は、前話で戦争終結のための覚悟を決めたカミーユ・ビダンに、クワトロが「シャア・アズナブルとしての責任」を果たすことで応える、シャアの覚醒回でもある。更に宿命のライバルであるシャアとアムロ・レイが協力し、そして一つの和解を迎える、シリーズファンにとっては胸が熱くなること間違いなしの場面も存在する。
本話では助演に回るカミーユも、以前からそりが合わなかったベルトーチカ・イルマと打ち解け、フォウ・ムラサメとの悲恋を踏まえた成長(あるいは精神衰弱)を見せる。他にもゲストキャラのアジス・アジバ中尉がエマ・シーン以来の「まともなティターンズ兵」として描かれたり、いかにも機能不全に陥っていそうな連邦議会が再び描かれたり、意味深な表情で佇むセイラ・マス(演者のスケジュールの都合で声無し)が登場したりと、細かい所で様々な人々が描かれている。
作品を通しで観ることで意味が分かり、本話も繰り返し見直すことで、キャラクターの細かい演出や台詞の妙、そして安定しないアジスの作画が判ってくる。このため、本作を観終わった人や、根っからの『Ζ』ファンからは評価の高い「エモい」エピソードである。
クワトロ・バジーナ ダカール演説書き起こし
シャアのセリフ以外の野次や通信は全て省略。特に序盤の野次やエゥーゴ派議員のわざとらしいアシストなどはいい感じにカオスなので必聴。
また、劇中ではちょくちょく場面転換が挟まるため、実際に行われた演説はもう少し長いと思われる。でないとちょっと展開が雑なところが多いし、ただの環境テロリストだし、なによりオチがない。
閉会するな!この席を借りたい!
議会の方と、このテレビを見ている連邦国国民の方には、
突然の無礼を許して頂きたい。
私は、エゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。
話の前に、もう一つ知っておいてもらいたい事があります。
私はかつて「シャア・アズナブル」という名で呼ばれた事もある男だ!
……私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐ者として語りたい。
もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、
ジオン・ダイクンの子としてである!
ジオン・ダイクンの遺志は、ザビ家のような欲望に根差したものではない。
ジオン・ダイクンがジオン公国を作ったのでは無い。現在ティターンズが、地球連邦軍を我が物にしている事実は、
ザビ家のやり方より悪質であると気付く。
人が宇宙に出たのは、地球が、人間の重みで沈むのを避ける為だった。
そして、宇宙に出た人類が、その生活圏を拡大した事によって、
人類そのものの力を身に付けたと誤解をして、
ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。
それは不幸だ……もうその歴史を繰り返してはならない!宇宙に出ることによって、人間はその能力を
広げる事が出来ると、何故信じられないのか!?
我々は「地球を人の手で汚すな」と言っている。
ティターンズは、地球に魂を引かれた人々の集まりで、
地球を食い潰そうとしているのだ。人は長い間、この地球という揺り籠の中で戯れてきた。
しかし! 時は既に人類を地球から、巣立たせる時が来たのだ!
その期に至って何故人類同士が戦い、
地球を汚染しなければならないのだ!
地球を自然の揺り籠の中に戻し……
人間は宇宙で自立しなければ、地球は水の惑星では無くなるのだ!このダカールさえ砂漠に飲み込まれようとしている!
それほどに地球は疲れ切っている!今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。
ならば自分の欲求を果たす為だけに、地球に寄生虫のように
へばりついていて、よい訳がない!(ティターンズの攻撃激化。議場に戦場の映像が入る)
現にティターンズは、このような時に戦闘を仕掛けてくる!
見るがいい!この暴虐な行為を。
彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、
逆らう者は全てを悪と称しているが、それこそ悪であり、
人類を衰退させていると言い切れる!(議会ビルが被弾。議場が損壊)
テレビを御覧の方々はお分かりになる筈だ!
これがティターンズのやり方なのです!
我々が議会を、武力で制圧したのも悪いのです。
しかしティターンズは、この議会に自分達の味方となる議員が
居るにも関わらず、破壊しようとしている!
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感動してんです。人って、絶対に共感できるって
──でも、それには時間が必要です。一人二人が相手じゃないから
でもね、全ての人達との共感が、得られる時代が来たら、
死んで行った人達にも、どこかで巡り会える
そんな気がするんです
カミーユとシャアは、軌道上に待機する
アーガマと合流するために宇宙に戻った
しかし、ティターンズの攻撃を排除する間に
2人は敵艦に奇妙なプレッシャーを感じた
次回、『機動戦士Ζガンダム』
「レコアの気配」
君は、刻の涙をみる……
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