バイアランとは、テレビアニメ『機動戦士Zガンダム』に登場するティターンズのモビルスーツ(MS)である。形式番号はRX-160。
概要
ティターンズのキリマンジャロ基地にて10番目に開発された試作モビルスーツ。旧公国系の技術を使ったのか、ジムのようなバイザーではなくモノアイを持つのが特徴的。機体形状がジュピトリス製MSと似ている事から、開発にはパプテマス・シロッコが関わったとする説があるものの、詳細は不明(漫画版ではシロッコが携わっている)。
ド・ダイ改等のサブフライトシステムを用いずに大気圏内を独力で飛行する事を目的とし、搭載した熱核ジェットエンジンによって自力飛行を実現。軽量化と空力特性を追求した結果、携行装備の一切を切り捨て、メガ粒子砲は腕部への内蔵式にするなど、かなり思い切った改良を施しており、モビルスーツ単独による滞空時間記録を大幅に更新してみせた。当時MSが飛行するにはサブフライトシステムを使用するか、可変MSなら変形するしかなく、変形せずに独力飛行を成し遂げたバイアランはまさに画期的存在だったと言える。
ただし、大出力で強引に飛ばす手法だったため、各所に配置したバーニアが機体の肥大化に繋がって被弾率が上昇、更に機体の軽量化で装甲が低下して打たれ弱くなってしまった上、エネルギー消費の問題から長時間の飛行も不可能。劇中ではバイアランの稼働時間を引き延ばすためかジェリド・メサ機がサブフライトシステムに乗っている描写があり、本末転倒な部分も見受けられる。
他にも、三本指の特殊なマニピュレーターを採用した弊害で携行武器が使用出来なくなり、武装はマニピュレーターに仕込まれたビームライフルとビームサーベルのみと必要最低限。主推進器のメンテナンス性・開発コストともに悪く、拡張性の無い切り詰めた設計が祟って本格的な量産には至らなかった。実のところ単独飛行の優位性と引き換えに様々な弱点を抱えている。
大気圏内用MSと思いきやスラスターを熱核ロケットエンジンに換装すれば宇宙でも運用可能。宇宙では飛行時間を気にせずに大推力を発揮出来るため、地上よりも扱いやすい。大気圏内を単独飛行するために作られたのに宇宙の方が向いているとは何たる皮肉だろうか…。
『機動戦士Zガンダム』ではジェリドが搭乗。初登場時は塗装が済んでいなかったのか灰色一色だった。彼は数々の機体を乗り継いできたが、最も戦果を挙げたのがバイアラン搭乗時で、多数のガザCを撃墜してグワダンにも損傷を与え、フォウのサイコガンダムやアポリー中尉が乗ったリック・ディアスをも撃墜。あのハマーン・カーンにもプレッシャーを与えている。
反面攻撃を受ける事も多く、アムロが駆るディジェに墜落させられたり、Zガンダムのグレネードが背中のバーニアに命中するなど被弾率の高さが目立つ。しかしどの攻撃もバイアランを撃墜するには至らず、見た目とは裏腹に高いダメージコントロールが窺える。最後まで撃墜されなかったものの、ジェリドがバウンド・ドックに乗り換えてしまったためその後の消息は不明。
少数ながら量産されたようで、ドゴス・ギアが撃沈された時、パラス・アテネの背後に一般兵が乗るバイラアン2機が確認出来る。言わば高級量産機と言ったところか。
劇中での活躍
グリプス戦役の真っ只中である宇宙世紀0087年11月2日、エゥーゴとカラバの共同軍がティターンズのキリマンジャロ基地を襲撃し、守備隊との間で戦闘が生起。格納庫内で調整を受けていたバイアランを、モビルスーツを求めるジェリド・メサ中尉が強引に起動。整備員の制止を振り切って出撃した。
出撃後はカミーユが乗るZガンダムと交戦して互角の戦いを見せる。が、割って入ったサイコガンダム(友軍機)の頭部をビームサーベルで突き刺してしまい、フォウ・ムラサメを戦死させてしまった。その後は正式にジェリドがパイロットとなる。
11月16日、メロゥドに搭載され、キリマンジャロからダカールに向かうアウドムラを追撃。数機のハイザックとともにZガンダムと交戦する。やがて戦いの舞台は空中からダカール市街へと移動、議会ではクワトロ・バジーナが全世界に向けて演説をしているところだったがジェリドは攻撃を強行、止めに入ったアッシマーをビームライフルで撃破し、その流れ弾が議会付近に着弾、会場内は激しい揺れに見舞われた。この事をクワトロが利用しないはずがなくティターンズの非道性が世界に向けて暴露されてしまう。まさに処刑級の失態。事の重大さに気づいた上層部からの命令でジェリドは渋々撤退した。
次の戦闘ではサブフラストシステムに乗って出撃。シャトルの打ち上げを妨害するべくビームライフルを撃ちかけるも、護衛にはアムロが操縦するディジェが付いており、サブフライトシステムから落とされた挙句、ビームを撃ち込まれて退却。
カミーユらが宇宙に上がったのでジェリドも宇宙へと移動。地球圏に帰還したアクシズとの交渉が決裂し、ティターンズと交戦状態に入った事で、ジェリドはバイアランを駆ってバーザムとともにグワダンへ攻撃を仕掛ける。ベテランのガザCを一刀のもと斬り伏せる、グワダンに損傷を与える、ハマーンにプレッシャーを感じさせる、アポリー中尉のリック・ディアスを撃墜するなど獅子奮迅の活躍を見せた。しかしアポリーの死に激昂したカミーユに機体の一部を斬られてしまいゼダンの門へ後退。
以降、ジェリドはバウンド・ドックに機体を乗り換えてしまったため行方知れずとなる。
武装
- メガ粒子砲
バイアランの両腕に仕込まれた内蔵式のビームライフル。出力はハイザックやマラサイの2倍以上あり、それでいて速射性にも優れ、腕に装備した関係上、射角も広く取れる強みを有しているため、一定水準以上の性能がある。
- ビームサーベル
近接戦闘用武器。肘部のサーベルラックに1本ずつ柄が格納されており、使用時はサーベルラックから柄が飛び出て、それを反対側の腕で握って取り回すという他の機体には見られない運用法。また3本指マニピュレーターでグリップ出来るよう柄が三角柱の形状になった。
ゲームでの活躍
スーパーロボット大戦シリーズ
原作通りのジェリドの他に、カクリコン・カクーラーやマウアー・ファラオ、ライラ・ミラ・ライラといったネームドパイロットの乗機としても使用されている。
第4次ではルート次第でサブ主人公も塔乗していて、説得することでバイアランごと加入する。単体で飛べるのでそれなりに便利で印象に残る。
Gジェネレーションシリーズ
どの作品でも概ね性能が高く設定されている。「単独で大気圏内を飛行する」コンセプトが共通しているからか、グフ・フライトタイプから開発出来る場合もある。
後年の作品ではバイアラン・カスタムに唯一改造出来る素材となっており希少な存在。
エゥーゴvsティターンズDX
盾無し、変形不可、妙に大きい肩幅のせいで被弾率が高い、武装がビームライフルとサーベルのみなど、地味ながら目立つ欠点を抱える。その反面、良好なブースト性能のおかげで高い機動性を誇り、格闘性能にも優れているため近接戦闘に長ける。
エゥーゴ鹵獲カラーは赤と白のツートンカラーというヒロイックな配色となっている。
ギレンの野望シリーズ
『アクシズの脅威』から登場。
高性能でありながら低燃費という優れた機体のため対アクシズ戦では主力選手。「通常形態」と「飛行中」という二種類の形態が存在し、「飛行中」は火力が上がるという変形の前後で性能が変わる珍しい特徴を持つ。また水中の敵にも攻撃可能と便利。ただ盾を持っていないため被弾率は高め。
バイアラン・カスタム
機動戦士ガンダムUCに登場。トリントン基地で立案された技術試験計画の産物として2機が製作された。
時代が変わり、廃棄予定になっていたバイアランに既存の技術を集めて飛行能力を向上させたもの。最新の技術は一切使用されていない、いわばマイナーチェンジ版である。既存技術のみで改修するという時間の無駄とも思えるこの計画が認可されたのは、トリントンが戦略的価値の低い、忘れ去られた基地だったからである。事実、配備されているMSの殆どが型落ち(ジムⅡ等)で、将兵も左遷組で構成されていた。
そんな忘れ去られたトリントン基地もジオン残党軍の襲撃を受け、戦火に包まれる。残党軍の高い錬度に押され、連邦軍のモビルスーツは次々に破壊されていく。基地の奥深くに入り込み、破壊活動を繰り返す残党軍モビルスーツに為す術が無いように思われたその瞬間。格納庫の天井を突き破って、バイアラン・カスタムが飛翔した。
本機の活躍はまさに獅子奮迅だった。ジムⅡやネモを手玉に取っていた残党軍を今度はバイアラン・カスタムが手玉に取る。カプールやザク・マリナー、ズゴックを相手に大立ち回りを演じ、片端から撃破していく。ザクキャノンからのミサイル攻撃を物ともせずに大空を駆け、ナギナタ片手に向かってきたゲルググを撃破。練度不足や残党軍の気迫から押されていた戦局を立て直した。ザクⅠスナイパータイプに背中のバーニアを狙撃されながらも、ビームサーベルでマラサイを両断したところで出番は終了。その後の消息は不明である。この大活躍は、ジオンの残党狩りというティターンズの使命を見事に果たした形となった。
外見は背中に2基の追加ブースターが搭載され、デザインも鋭角的になっている。原型機はモノアイだったが、バイアラン・カスタムはジムと同じようなバイザーとなっている(モノアイのままではティターンズのイメージが強く、改修許可が下りなかった為)。また、武装は元のビームサーベルの他、ビームライフルからビームマシンガンに変更されている。腕部はガブスレイのクローアームへと換装された他、脚部もクローになり踵部分はバウンド・ドックと同形になっている。
外伝漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』で本機に関する詳細が語られている。パイロットは元ティターンズ兵のドナ・スターであり、ティターンズ時代の思い入れからバイアランを改造していた。
ガンダムUC本編に出てた機体は一号機であり、上記の魔改造バイアランにプロペラント・ユニットを増設した検証用であった。さらにスラスター・ユニットをギャプランの羽にし、一号機のデータをフィードバックさせた「ティターンズMSのキメラ」とも言える二号機が開発中である。
こちらはUC本編時点では未完成であり歩くことさえできない状態であったが、バイアラン飛翔の隙を作るために起動し、ザク・マリナー撃破後に機能エラーで停止している(アニメでバイアラン・カスタム登場直前にザク・マリナーを撃破しているのはこの機体であるとされた)。
バイアラン・イゾルデ
『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』に登場。どういう伝手で入手されたのかわからないがブッホ・コンツェルンの私兵部隊「バーナム」で運用されている機体。エンジン周りが宇宙用にカスタマイズされている。
バイアラン・カスタムをより人型に寄せたようなフォルムになっている。こちらはツインアイでガンダムというかクィン・マンサみたいな面構え。配色はハマーン専用ガザCを思わせる白っぽいピンクと赤味がかった紫のツートンカラー。
関連動画
関連静画
関連項目
バイアラン
バイアラン・カスタム
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